3/21は春分の日。
「春」は陰から陽に変わる季節で、自律神経が乱れやすい季節です。
社会的にも気温の変化も著しく、その環境に適応していく必要のある私たちは良くも悪くもストレスにさらされます。
ここでは、東洋医学的に春の捉え方をみていこうと思います。
自律神経が乱れやすい春だからこその、体調を整えるための助けになると幸いです。
陰と陽
陰と陽の考え方は2000年以上も前にうまれた「陰陽説」という東洋の思想です。
全てのものは陰と陽にわけられ、日陰の場所は陰で、日の当たる場所は陽に。
暗いと明るい、下と上、月と太陽、女と男…などなど。
全てのものは陰陽のバランスで成り立っています。
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陰陽説でいう春とは…
陰陽説によると、冬は陰で夏は陽になります。
春は冬の陰から抜け出し、陰と陽が半々になる季節です。
一年でいえば学校では新学期が始まり、会社では人事移動など何かと新しい仕事の準備の季節になります。
春は忙しい季節で三寒四温も
子どもたちは卒業式や入学式。
社会人一年目さんたちは引越しや新人研修。
母親は子どもの新生活の準備。
父親は人事移動や昇給など。
他の季節よりも、社会的環境の変化によるストレスの多い季節になりやすいです。
そして、三寒四温の温度変化も自律神経の働きに影響します。
交感神経が優位になる
慣れない忙しい毎日や気温の変化が続くと、交感神経が優位になりやすく、緊張状態が続きます。
緊張状態が続くと…
- 血管は収縮して、血液の流れがわるくなる
- 動悸がする
- 気分的にイライラする
などの不調が起こりやすくなります。
ストレスは血液やリンパの流れを悪くするので、免疫細胞が体の隅々までいってパトロールする役割を遂行しづらくしてしまいます。
春は「肝」
春の季節の変化は、五臓六腑の「肝」に影響を与えます。
五臓六腑の「肝」の役割は、大きくわけると「感情をコントロールする」と「血液を貯蔵する」の2つになります。
「肝」は感情をコントロールする
正常であれば、気や血は全身をスムーズに流れて巡っています。
「肝」は、気や血の流れをコントロールする働きを担っているのです。
春の陽気は気の巡りを活発にします。
そのために気分がエスカレートしたり、逆に気がまわらなくなって鬱々したりという症状がでます。
気が渋滞を起こすと「気滞」という症状がでたり
気の流れが悪くなり鬱滞すると「肝鬱」という症状がでてきます。
このような気の流れをコントロールする働きがあるので、「肝は感情をコントロールする」という表現で説明されます。
現代的な言葉で説明するなら、交感神経が働きすぎたり、働きが悪くなってしまった状態と言えます。
「肝」は血液を貯蔵する
五臓六腑の中で「肝」は「血液を貯蔵する」という役割もあります。
肝はなんらかの事情で血液が不足した時に、必要な部分に血液を届けてくれます。
例えば、栄養不足で血液が足りなくなったり、出産や生理の時、運動した時、過剰な出血などで肝に充分な血液のストックがなくなるといろいろな不調がでてきます。
肝の血液不足は、免疫力の低下につながります。
免疫細胞は血液に乗って体の隅々までパトロールしています。
血液のストックがなくなると、ウイルスや細菌と戦う機能が低下してしまうのです。
また、肝は目・爪・筋肉などに関係しています。
目の疲れや渇き、筋肉のひきつりや痺れ、爪が割れる、生理が遅れる、夢を多く見る…
などの様々な不具合が起きてきます。
肝の血液は眠っている時に、つまり副交感神経が働いている時に補充されます。
睡眠不足や過労などが続くと、自律神経のバランスが乱れて、いろんな臓器に血の不足が起こるのです。
現代的に解釈すれば、肝の「感情をコントロールする働き」と「血液を貯蔵する働き」は自律神経のような働きだとも言えそうです。
さいごに
春は自律神経が乱れやすい季節です。
環境の変化に適応しなければならない私たちにとって、それはしょうがないことなのかもしれません。
しかし、不調をきたしやすい理由をわかっていればストレスに対応していけるものです。
まずはしっかりと食事と睡眠をとりながら、このコロナ後の大きな変化の時期を軽やかにかわしていきましょう!